Entre la poire et le fromage 

『洋ナシとチーズの間』 パリのよしなしごとを徒然なるままに

Yanis Marshall(ヤニス・マーシャル)・全米疾走中 from Lasvegas‬ 天才ぶりを徹底検証

 Yanis Marshall(ヤニス・マーシャル)のストリート・ジャズクラスが今日も休講、と思っていたら、本人のフェイスブックでメッセージが(意外とまめな男だ)。

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「ラスベガスに着いた。It's official over 5 000 000 Views on Youtube in 1 week !!!!! (一週間で500万回の公式ユーチューブ動画再生)サポートしてくれたみんな、アリガトウ!!!」とのこと。今回のベガス行きは、コレ(振付)のためのビジネストリップ、とある。え、さっきまでロンドンにいたじゃん。

 500万越えの問題動画はこちら。さっき見たら既に600万回越え。もちろん十八番のBeyonceメドレー。いつものタロン(ハイヒール)3人組、両サイドはArnaudとMehdiくん。ロンドンの68スタジオにて。 


YANIS MARSHALL CHOREOGRAPHY. MUSIC BY ... 

 ところで、若いフランス人、ヤニスがこれだけ世界を相手に自分の名前でビジネスができるというのは、やはり英語を流暢に使いこなせているのが大きいと思う。日本人がきけば、なんだ、そんなん当たり前じゃん、と思うかも知れない。でもフェイスブックのページも全て英語、公式HPは英仏両語で作成されている、というのが、実際どれだけ大きな意味をもつことか。彼のクラスでは仏語で説明した後に、重要事項のみ、英語スピーカーのために英語で説明する。テレビでもインタビューは全部英語だし、それは普通のフランス人が話すたどたどしい「英語ってこんな感じ?」風じゃなく、本当に滑らかに言語のギアチェンジをしている。まるで・・・ストリートでも、ジャズでも、モダンでも、クラシックでも、どんなシューズを履いて何を踊ったって、僕は僕の踊りができるよ、とさらりと言ってのけるみたいに。もちろん彼のNY滞在中に得たものだろうけれど、その、些細に見えることが、実はフランスという国において、決定的な(致命的ともいえる)差異を生み出している。

 前回アップした “ON THE RUN" の振付を思い返しながら、彼の「タレント」について、しばし検証してみた。

 カウントで振りを与えていくが全体的にはフレーズで振りつけていくタイプ。この曲の場合「Cliché, ×4」で、メンバーを3パート分け、4回目でアンサンブルを指示した。I'm next to you、とその数カウントあとに出てくる( I bring out)The best in you は、メロディーもさることながら言語の「韻」を踏まえて歌詞で振りを与える。「英語」という言語、歌の意味・内容が、彼の身体に染み入って、それを表現しているということがちゃんと伝わってくる。(ジャズ教師の中には、全く英語ダメだから、と最初に公言している人もいる)

 リズム的なことで言えば、これは培ったモノ半分、天性の勘半分か。I don't care if we on the runに入る前「クラックどこで取るか、聴いて」とその部分の音楽だけ聴かせた。アン・ドウ・トロワにしがみついてしまうと、曲とヤニスの意図を読み取り損ねる。

 「表のリズム」で振りつける(8カウント)だけだと並み。でも私が「あ、天才」とこの時思ったのは、you~の後のセリフのない部分を裏のテンポで倍速で取ったこと。なるほど、これがヤニスの振りの「疾走感」というか「普通じゃない感」に繋がっているのか。その上こまごまとしていないから、踊るほうはかなり、いや相当ハードなんだけど。(ちなみに私はフツ―のジャズシューズだ)

 彼の600万回越えにしても、往々にして「男がハイヒールでビヨンセ踊って、ギャグ満々でクリックしたらカッコ良くてすげー、誰これ」が(日本含め)評価の実情。

 本人が、そのあたりをどう感じているのかは分からない。ワールドワイドに活躍の幅を広げるヤニスが次にパリに戻ってくるのは、7月のスタージュになりそうだ。とりあえず、その時を待つことに。