Entre la poire et le fromage 

『洋ナシとチーズの間』 パリのよしなしごとを徒然なるままに

パリダンサー図鑑(8)Nicolas Huchard/ニコラ・ユシャール密やかな、強烈な個性~夏のスタージュ突入編/Funk Jazz

 Nicolas Huchard(ニコラ・ユシャール)の経歴に関しては、スタジオのHPを見ても、フェイスブックを見ても、殆ど明らかにされていない。1987年1月24日生まれ、現時点では27歳。フランスのダンサー、振付師。

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スタージュ(研修)時のパンフレットから、彼のプロフィール以下全文。

『ébutant sa carrière dans une école de cirque Nicolas décide de se mettre à la danse.Il intègre l’académie internationale de danse (France),Millenium dance complex (USA) et ebby Raynolds.Il se forme au Jazz, à la danse contemporaine et au Hip Hop.Ces dernières nnées Nicolas accompagne de nombreux artistes et chanteurs comme : Christophe Willem, David Guetta, Kelly Rowlland, Dj Mehdi, Ben l’oncle Soul, Shy’m, M pokora…』

(要約)ニコラは「サーカス学校」(ってどこだ?)からキャリアを開始、ダンスを始めることを決めた。『国際ダンスアカデミー』(仏)『ミレニアムダンスコンプレックス』(米国)『デビーレイノルズ』にて学ぶ。彼のダンスの形式は、ジャズ、コンテンポラリーダンス、ヒップホップである。近年、ニコラは以下のようなアーティストや歌手とともに活動:クリストフ·ウィレム、 デヴィッド·ゲッタ、ケリー・ローランド、DJ・メフディ、ベン・ロンクル・ウル 、Shy'm、ポコラ。

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今日から一週間、彼の『FunkJazz』のスタージュに参加しているのだけれど、初めて見た彼は、まるでクラシックのバレエダンサー的「ほそ~い」「顔小さ~い」「手足なが~い」で、ビックリした。HipHopにカテゴリーされる系統のダンスだと(ジャズ、ストリートジャズ)教師も生徒もたいてい男も女も筋肉ムキムキマッチョで、有無を言わせずエネルギーでがんがん押しまくるタイプが概して多く、それが欧米、この系統のダンスだとうっかり思い込みそうになっていた。おかげで彼の「洗練されたファンクジャズ」スタイルはかなり衝撃的。さあ、具体的にどのようなモノか???説明するより本日の振り付け、こちらをご覧あれ。


Nicolad Huchard Choregraphy "Stimela" by ...

ちなみに、私より10も年下なのね。そして全然「教師」っぽくない。(かといってアーティストぶってエバっている訳でもない)常連クラスを持っている訳ではないし、普段はフツ―にダンサー・振付師としての活動が主らしく、なんか本当に「フツ―のフランス人青年」という感じだ。うっかりしたら生徒かと思うかも。

 彼は「やり方」なんか手取り足とり教師ヅラして教えたりしない。「やること」を伝達する。それだけだ。90分はあっという間に終わる。

上記メンバー5人はみんなクラスに来ていて(しかも一人は前のクラスで激はげしいヒップホップを担当していた教師ジェシーだ。3時間連続か!)それを見るだけでも士気が上がる。(ってフレーズはあんまりフランス語にはないのかな?)この曲、Wynter Gordonの"Stimela" は、いろんな実力派ダンサーが、特にコンテンポラリー系の振付家が手掛けている曲だ。ユーチューブにUpされているだけでも相当数比較することができるが、ニコラのは全く異色。まさにプロフィールにあったように、コンテの基礎を持っていながら、Hiphop、Jazzもミックスさせた、殆ど独自の表現となっている。他がどれも似たり寄ったりだから、ニコラたち5人組のひそやかな『強烈な個性』は正直、ずば抜けている。

 これまで紹介してきた8人の中で、私は10年後が楽しみなダンサーと言えば、間違いなくこの人、ニコラだ。現時点で、既に誰かのモノマネだったり、あれとこれを足して2で割ったりしている人は、割と堂々として見えるし、言うことも大きいけれど、たぶんまだ「個性」じゃない。その点、声高に主張せずとも限りなく「独自性」に近い部分の勝負を仕掛けてきている一人が確実に彼である、と見ていいだろう。例えて言えば、新潟県南魚沼市の夏の沢登り(米子沢)で、初めて行くとナメ滝の美しさにはしゃいじゃうけれど、実はそのあとの醍醐味「詰め」終わった草原の風を、彼ら5人で立って静かに全身に受けている「ひたひた感」がある。(マニアックな例えですみません。)意外と「え、そんな難しいこと考えてません。ガッコー時代の仲間とビデオ撮ってるだけです」とか言われそうな気もする。あ、そうそう、本人はわりにこういう口調の(もし日本語訳したら)真面目な、どっちかというと不器用っぽい好青年って印象。クラスは満員御礼!だった。


Nicolas Huchard Daughter "Get Lucky" Cover ...