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Entre la poire et le fromage 

『洋ナシとチーズの間』 パリのよしなしごとを徒然なるままに

Étés de la danse サンフランシスコバレエ/パリシャトレ座公演 7月14日所感

Danse

 パリにようやく陽がさした午後。シャトレ座20時公演、サンフランシスコ・バレエ

Tour: San Francisco Ballet に行った。パリはもちろん7月14日の革命記念日の祝日とあってたいていの公務は休み、店は開いているところと閉まっているところがまばらで、昼はパレードやイベント。ダンススタジオも全て休みだったので、身体のなまりを部屋で解消しながら夕方を待つ。

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 フィガロ紙11日付はヤンヤンタンの写真入りだが、公演紹介に留めている印象。そりゃあ、ニコラ引退、ノートルダム等のオペラ座記事でカルチャー面は賑わったのだから、サンフランシスコの入る余地もない。がしかし、パリ・オペラ座ネタで一つリンク必須はこちら、ダンス専門誌『ポアント』誌の記事より。Pointe magazine – Ballet at its Best. パリオペラ座ダンサーのマチルド・フルスティーさんが、一年の休暇(サバティカル)でサンフランシスコバレエ団のプリンシパルに迎えられ、この夏の公演で凱旋帰国を果たすことになっている、というもの。

 要約すると、マチルドは2005年にスジェになり、主要演目をこなしながら、どういうわけか昇格ができずに進退に悩んでいた。そこで自らサンフランシスコバレエにメールを送って、試験なしで即プリンシパルで迎えられた。行ってはみたものの、スジェ⇒プリンシパル、環境の違う中で独自性のない(これと言って強みのない)彼女はかなりきつかったと具体的に語る。ものすごおおおく頑張って、今年1月のジゼルでは絶賛を受けた。(まあジゼルなど、パリオペラ座団員からしたらお手のものだ)

 そのマチルドは本日のプログラムでは登場せず。今後については不明。ヤンヤンタン(上海出身、『人魚姫』など素晴らしかった)の日でもなかった。プルミエじゃない日なのだ、思って期待せずに行ったら何から何までその通りである。客席ガラガラ!出てきた瞬間、音にぜんっぜんあってないダンサー達。一人や二人ではない。これはリハか??苦痛な30分。ユニゾンがユニゾンでなく、ソロがソロでない。何をどう見せているのか分からない瞬間の連続。振付でなくダンサー的な問題である。ダメだこりゃ、と思った後、かつてない怒りが込み上げてきた。こんなに舞台に対して怒れるのは久しぶりである。腹も痛くないし頭痛もしない、隣にウルサイ客が居る訳でないので環境はむしろ万全と言えば万全なのだが、最後まで観る気が失せた。

 お金をもらって書いたり、会社のために書いたり、席を用意してもらって書いたりしているんじゃなくて良かった。そしたら、一幕が終わって帰れなかった。ダメな舞台はダメだと毅然と帰る。私は甘くない。いつもナイフくわえて観てます、という姿勢を忘れないことだ。舞台は、やる時も、客席でも、常に真剣勝負。

 シャトレを出て、やりきれない気持ちでシテ島のバス停まで歩いた。セーヌの橋の上から、河に沈む夕陽だけが、今日「ほんもの」だった。私の胸にせまった「美」はそっちだった。ふと後ろを振り返ると、ノートルダム聖堂がパリの記念日の暮れるのを見ていた。(下:21時頃撮影)

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 やっぱりオペラ座のノートルダム・ド・パリ、あと何度か違うキャストで観に行こう、とぼんやりと思っていた。19時半公演はレッスンと重なってきついけど、何とか観に行こう。。。オペラ座からあれほど受けた感動の正体が、いったいどのあたりにあったのか、知りたい。