Entre la poire et le fromage 

『洋ナシとチーズの間』 パリのよしなしごとを徒然なるままに

Yanis Marshall ヤニス・マーシャル2014夏パリ:怒涛のスタージュ実況編〈その5〉リリカルジャズ特集

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 <その4>モダン編で紹介しきれなかった、ヤニスのリリカルジャズ(モダン)の振付動画の中で秀逸作を4つアップ。

 ヤニスの動画で優れているのはFernando De Azevedoさん

https://www.facebook.com/FernandoDeAzevedoDirector/timeline

という俳優・兼監督がディレクターした作品群。センスがとてもいい。 

(1)一番のお気に入りは「イリュージョン」曲の哀しみもさることながら、男女2組のペアの感情の盛り上げと抑制のバランスが秀逸。女を愛し守る「男のヤニス」である。そんなもん見たくない人は飛ばして下さい。


YANIS MARSHALL "ILLUSION" READ ALL ABOUT ...

(2)「ロンリー」2013年11月(ヤニスの生まれ月)、パリの街が最も暗く、鬱々としてもの想いに沈む冬の入り口。ヤニスがセーター着て、そりゃもう「捨て猫のような潤んだ眼で」ひとり、孤独を抱きかかえ、パリの空の下を踊る。メランコリーな表情もまた等身大の青年の哀しみをよく表現している。


"LONELY" YANIS MARSHALL. DIRECTED BY ...

(3)「シャドウ」2013年2月作品。実は最初に見た時、それほどいいと思わなかった。ピアノだけの旋律にのせて、ヤニスが「影」を踊っている。初見では2012年作品だと思った。でも繰り返して何度か動きを観察するとこれは研究の価値あり。コンテ寄りに見えるけれど、身体の基本をクラシックの「垂直軸」に置いて、肉体そのものでは回転とひねりを極力抑えている。その結果聴覚的には「流れる」メロディーの中で視覚的にはとても直線的な印象を残す。それから意識が外へ向かっているので(たぶん「影」だから「光」を探しているんだろうけれど、そしてそれは最終的には見つかるのだけれど)通常のコンテ作品に見られる「内へ、内へ」という内的思考に陥らない。それは、背景の白や、「窓」や、そこへ向かって走るシーンなどにも象徴されている。そうした全てのモチーフを含め、このビデオは物語性のある一本に仕上がっている。


YANIS MARSHALL CHOREOGRAPHY "SHADOW" BY ...

(4)クラス風景より「NOTHING EVEN MATTERS」――LAURYN HILL。実は同じ監督が手掛けているのだが、クラスの皆が男女それぞれ、身体を余すところなく使って自在に表現しているのが伝わる。訴えかけてくるものがあるかどうか、という段になると話はまた別だけど。ただこの動画の強みは何より全体を包む『好感度』にある。若い彼らがたぶん今、この瞬間に掴んで、今しかできないものを(それがいつか失われるとしても――ということまでは分かっているのだけれど、まだ、そのほんとうの意味をまだ知ることなく)今、とりあえずこの身体でマックス表現しなきゃ、という「卒業しつつあるみずみずしさ」。その一点である。


YANIS MARSHALL CHOREOGRAPHY "NOTHING ...

  彼のリリカル・コレで個人的には最強と思っている "BORN TO DIE"  、初めて見た時衝撃のあまり泣いてしまった音楽と映像。当ブログでは既出なので、今回は省略。

                      <その6:最終日編へ続く>