Entre la poire et le fromage 

『洋ナシとチーズの間』 パリのよしなしごとを徒然なるままに

ロシアの若き天才Choreographer(振付家):Vladimir Varnava/ウラジーミル・ヴァルナヴァ: Good times for a wind・・・

 ボリショイバレエのニュース、さらにミハイロフスキーの監督であったナチョ・ドアトが6月に引退したマラーホフの後任としてベルリンへやってくることなどから、最近すっかりノーマークだったロシアバレエ界どうなっているのやら、と。私はウリヤーナ・ロパートキナのいるマリインスキー(サンクトペテルブルク)びいきなので、ちょっと前にロパートキナの個人サイトで8月、ロンドンで白鳥を踊るのをチェックしたぐらい。ちなみに当分パリには来てくれない。くうう・・・。パリにゲルギエフはいないもんね。

 さてこのサンクトペテルブルグ拠点に、マリインスキーバレエ団で振付活動をしている1988年生まれの若き男性バレエ・コレオグラファーがいる。彼の名をはじめて知ったのは、ロシアバレエ界の女神:ディアナ・ヴィシニョーワの公式サイトだった。彼女と本人が一緒に踊っている映像があるのだが、11分の作品で(もちろん彼の振り付け)長くて当ブログに張り付けられない。

f:id:kotorio:20140719072511j:plain  フェイスブック:Vladimir Varnava | Facebook

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 彼がウラジーミル・ヴァルナヴァ。フランスのヤフーで「image」(画像)検索すると、殆ど少年時代の写真が出てくる。彼の経歴はマリインスキーバレエの「コレオグラファー」の公式ページ英語版から。Vladimir Varnava 彼はモスクワ大学のKhanty-Mansiysk branchというところで文化芸術を学び、2008年、ソリストとしてミュージカル劇場入り。クラシックとコンテンポラリーで主役を踊る。2010年ゴールデンマスク賞(国立劇場賞)最年少受賞、2011年ハークレイン賞(国立演劇賞)、2012年以降サンクトペテルブルクに拠点を移し、マリインスキー劇場のために仕事をしている。ソリストである、イーゴリ・コルプ、ディアナ・ヴィシニョーワへの振り付けなど。2013年には国際若手振付家のワークショップなど。今年はソチ五輪での、フィギュアスケート代表選手への振り付けも担当。

 1988年生まれなので、これまでパリダンサー図鑑で紹介してきた1987年組のニコラ、ジェシーたち、あるいは1989年のヤニスに代表される20代半ばの彼らとちょうど同年代。ロシアのウラジーミルくんがどのような活躍をしているか―――。

以下、動画2つ紹介。

(1) Good times for a wind (AndreiKino ©)―――いやあ・・・・・小作品ながら、このコレ(振付)には、私、度肝抜かれた。しかもウラジーミルくん本人、驚異的な身体性を「朝メシ前状態」で発揮して・・・踊ってるよおい・・・彼、ロシアの海の風になった。ってか、フランスの若手ダンサー、振付家兼教師のみんな、見た方がいいよ、、、マジで。世界はビヨンセとNYで成り立っているわけではない。


Vladimir Varnava - Good times for a wind ...

(2)Igor Kolb - Beginning:Based on the painting of Rene Magritte's "The Son of Man" 
(Fr: Le fils de l'homme,1964).ソリスト、イーゴリ・コルプのためのソロ振付作品「ビギニング」。こちらが彼の動画の中で最も再生回数が多く劇場側のプロフィールにものっている作品。(実は私の好みとは真逆だ)イーゴリ・コルプは「薔薇の精」など代表作のある今やロシアを代表する風格のダンサー。ウラジーミルくんはフェイスブックでも分かるが視覚的絵画への造詣が深く、この作品はベルギーのシューレアリスム画家、マルグリット・ルネの『 The Son of Man』(人の子:フランス語ではle fils de l'homme)をモチーフにしたものらしい。

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 キリストの考え方では「神の子」の対極にあるものなのだと思うけれどー―、う~ん、このコレ(振付)で『超現実主義』に挑むには少々、厳しかったのでは。


Igor Kolb - Beginning (chor.Vladimir Varnava ...

 

 ほんの1週間前、あんなに寒くて仕方なかったパリは突然夏が降ってきた感じ。ここはドバイかジブチか?日中は身も心も茹であがり意識も朦朧としかける。

 ――Good times for a wind・・・・いい言葉だと思いませんか?ただ、風を想おう。目を閉じて、波の音を聴こう。まぶたに浮かぶ、彼のしなやかな身体のように。遠いロシアの海の香が伝わってくる。