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Entre la poire et le fromage 

『洋ナシとチーズの間』 パリのよしなしごとを徒然なるままに

Philanthropy――ダンサーの社会的責任(2)NYBC・ニューヨークシティバレエ団の教育的活動

 英国の次は、ボランティア・奉仕大国アメリカの場合。ニューヨーク・シティーバレエ団( New York City Ballet :以下NYCB)がいかに地域(つまりニューヨーク社会)と密接に関わり、芸術の持てる力を還元しようと試みているか、を知った。また対象を「NYに生活するすべての一般の人々」と、設立当初からこれをバレエ団の使命として打ち出している。今回はその特徴的な活動の一つである「(児童・学校への)教育的活動」について、いくつか取り上げてみたい。

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 NYCBはNYマンハッタンを本拠地とするバレエ団。舞台はリンカーンセンター内DHコーク劇場、現在の芸術監督はペーターマルティンス氏。ダンサー約90人。ご存じ、創設以来率いてきた振付家・ジョージ・バランシンの作品を主なレパートリーとし、2008年からはボリショイからABTに移ったラトマンスキーによる作品も導入している。方向性として1)バランシン作品の理念を守り、引き継いでゆくこと 2)現代作品の振付、新規開拓 の二つになる。加えてカンパニーの「ミッション」(使命)として明記されているのが「ツアー、教育的プログラム、および他のアウトリーチ活動を通して、可能な限り、大衆に広くバレエにアクセスできるようにすることをコミットメント(確約)する」ことを設立時からの信念としている、とある。

 これに基づき、彼らは(A)Philanthropy(フィランソロフィー:慈善活動) (B)Educate(エデュケイト:教育的活動)を二本柱として行っている。

 さて、このうち今回取り上げるのはBの地域への教育活動について。1つ目はNYCB's School Programs『NYCB・学校でのプログラム』NYCB - NYCB in the Classroom というNY市内の学校を対象とした年間ワークショップだ。これはNY市の学習要綱にのっとり、NYCBの歴史などもレクチャーしつつ、創造的ダンスの体験学習を共有するというもの。中にはリンカーンセンターや、NYCBを実際に訪問する提携校もある。NYCBのトップページから、今2014-2015シーズンの同プログラム紹介のVimeoの動画があるのだが、張り付けられないので直接ご覧ください。NYCB - Home - The New York City Ballet

 他「student thater」: 児童低学年向けのバックステージツアーや、大学生向けの訪問日など 。「Family Saturdays」: 5歳以上の子供とその両親のための鑑賞プログラム。土曜の午前の一時間で、古典バレエやNYCBについて親子向けに楽しく解説する。以下はNYCBの公式動画ページ、共有してもトップのこの動画しか貼りつかないように設定されているので、以下から入って「12」番目の動画を選択していただくと私がここでダイレクトに張り付けてみたかった『NYC Ballet's Family Saturdays』の模様の動画に飛びます。NYCB、さすがである。わきのしめが固い・・・。


NYC Ballet's Family Saturdays - YouTube

 こうした活動ができるのは(C) Suponsorship(スポンサーシップ:後援)があるからである。「ダンスといった芸術ビジネスでは、適切なスポンサーを得ることが全てを意味します」と企業プログラムの項は始まっている。ニューヨーク市の各界実力者を集め、企業へのあらゆるビジネス機会の提供等、多くのメリットと引き換えに、彼らはフォード財団、ロックフェラー財団始め、財界実力者、個人など、そうそうたる顔ぶれからの支援を得て、こうしたアウトリーチ活動を可能にしているわけだ。(D)現場で動くのは「NYCB Volunteer service」(NYCBのボランティアサーヴィス)と呼ばれる驚くべきことにボランティアの人々の存在。約250人で構成され活動分野別の小委員会がある。例えば――「バックステージ」:児童のための月曜朝の舞台裏ツアー「ビジネスプロ」:夜公演の前に専門ビジネスの人向けにバレエ団を解説「セミナー担当」:研究とセミナー開催時のメンバーの手配など。

 さすが米国、バレエ団といえど一企業であある。芸術理念と地域への使命、やることのスケールと金の使いっぷりも、ケタが違いすぎる。日本と比較にならないのはもちろんだが、欧州と比較して考察すると、また面白い。

 さて・・・今回、こんなに動画貼り付けできず四苦八苦するとは思わなんだ。最後に私的2本、堂々ユーチューブから。

 一本目は2013/ 9/11のNYのビル屋上で。タイトルの示す通り、あの9・11のNYの悲劇からの『NEW BEGINNINGS』(新たなる出発)。NYCBが本当に「NYとともに生きるバレエ団」であり、それは市の芸術そのものであり、魂であり、希望なんだと、それを彼らが当然の使命、としていることに胸が熱くなる。今もなおこうしてメッセージを発し続けられることが凄い。なんて違いだ。日本で海外ダンサーが形ばかりのチャリティー公演を行ったり、お粗末な講習会をしたが、そこにどんな「たましい」があったか。


NYC Ballet Presents NEW BEGINNINGS - YouTube

 こちらはもろに、疲れた目の保養、夏の一本。NYCBってホントにダンサーの個性生かしてこういう時々余裕の大人プロモ作ってくれるから・・・(笑)


Justin Peck's YEAR OF THE RABBIT with music by ...

 

  

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