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Entre la poire et le fromage 

『洋ナシとチーズの間』 パリのよしなしごとを徒然なるままに

パリ路上の不思議な灰色ボックスの正体 

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 パリはもう秋だ。と、このブログでも何度も書いている。だってもう葉が黄色くポエムチック。午前中はずっと寒くて、爪が紫色になっている。夏物の服などもうとっくにしまいこんで、人々は既に皮ジャンにパーカーに帽子と完全防備。去年ダメになってしまった服、日本から持ってきて諸事情により使えずじまいだった服、あるいは最初から何回使ったら捨てる、と検討を付けていたへたれ部屋着、趣味に完璧に反逆するハンパモノたちが何故かスーパーのしゃかしゃか袋に2袋。捨てるのはもったいないし。(1)独身で、ひとり暮らしで、(2)収入もなく(3)当然モノなんか絶対に買っていないはずなのに。ああ、旅行でなく、生活するというのはこういうことなんだ、としみじみ思う。

 パリの街を歩いているとゴミ箱でもない、不思議な灰色(白の時もある)ボックスに出会う。ソルド(と呼ばれる年2回のバーゲン)の前や後には大活躍。そう、これ、洋服専用回収ボックス。

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 フランスでは、衣類回収業界が威勢がいい。上は『le Relais』という団体が管理・運営しているもので、サイトによると2010年に8万トンの衣類を回収、業界の65%を占める。約1万3千ほどのボックス(コンテナ、と呼ぶらしい)がフランス中にあり、大手スーパー『カルフール』の前にも設置されている。公式サイト:le Relais

 これによると、1949年、ホームレスや出所したばかりの人々など、何らかの理由で社会に適応できなくなった人々を援助する協会『エマウス』がピエール神父によって創設された。私は須賀敦子にずッポリとはまっていたあの時代に(ああ、書いてしまった・・・)彼女の著作と生き方を通じ、この団体の存在を知っていた。

 エマウスはトラックで戸別訪問をして不要品を回収、リサイクル販売することで資金を調達。1984年、雇用拡大の目的でできたのが『Le Relais』らしい。――というのは、私もサイトを読んで初めて知った。

 目的はあくまで弱者の社会復帰。だからリサイクルやファッション目的で辿りついても、以外と真面目な内容のサイトに驚かされる。アフリカに会社が3社あり、集められた服たちがどういう過程を経てフランス国内へリサイクルされるのか、残りがアフリカへ出荷されるのか、という仕組みが図解とビデオで分かるようになっている。その社員たちにしても正規雇用は半分で、残りは他で雇用されない弱者の教育援助のための、2年限定の『社会復帰』雇用者。

 英国やドイツの方が、こうした活動にはスピリットの上では、はるかに熱心なんじゃないかとずっと思っていた。あまりに意外だったフランスのリサイクル活動。一団体が実施しているから国をあげて上等だとまでは言えないが、少なくとも身近に、当たり前に、それが行える環境がある、という事か。上記サイトの「ou donner?(どこもってく?)」に郵便番号を入れると、最寄ボックスが地図でポンポンと出てくる仕組み。もちろん私も試してみた。

 なるほど、秋が深まらないうちに、散歩がてら投げ込みに行くとしよう。