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Entre la poire et le fromage 

『洋ナシとチーズの間』 パリのよしなしごとを徒然なるままに

グラナダ版ホームズ第4シリーズ:23話 The Adventure of the Devil's Foot 悪魔の足&おまけBGM

 『The Adventure of the Devil's Foot』邦題:悪魔の足。56ある短編小説の40番目。His Last Bow『ホームズ最後の挨拶』収録作品。

      

 正典では冒頭部分に「To his sombre and cynical spirit all popular applause was always abhorrent, and nothing amused him more at the end of a successful case」という一文が気に入った。(自分訳)彼の憂鬱、冷淡(冷笑な)精神には、 一般大衆からの賛辞は常に忌み嫌うべきものであり、彼は、うまく解決したとき以上に愉快に感じはしないのだ」警察にも惜しげもなく手柄を与えてしまうし。

 ちょっとドキッとするアフリカンチックな音楽と海鳴りで幕開け。グラナダ版、うまい。23話ともなるとマンネリ化してくるかも知れない所だけれど――。

 ストーリー:ホ-ムズは、過労のため静養にコ-ンウォルを訪れている設定だが、これは実際のコナンドイルの経験。さてそこで二つの奇怪な事件。共に(1)閉め切られた部屋で(2)火の存在がある(3)入った人間が発狂したり死亡している⇒ホームズたちが導き出した「仮説」とは「何かが燃やされ有毒な気体が発生していた」ーーーというハナシ。

 

*(撮影小ネタ)ジェレミー・ブレッドの髪が短くなっている。彼はストーリーのホームズだけじゃなく心身とも疲労の極致にあってバランスを崩していたんですね。ホームズ役も降板したいと思い詰め自分で髪を切ったとのこと。しかし見慣れてくると短い髪のジェレミーもまあ新鮮でいっか、と。殺風景なコーンウェルの砂浜と海とジェレミー、人生の下り坂を象徴するようでシャーロキアンの心痛やいかに。

*そんな小ネタも踏まえて、今回はワトスンの立ち回りが正典とも若干異なって付け加えられてあり、ワトソニアン(というらしい)のこころをくすぐる。冒頭からホームズがほんとに具合悪そうにしていて、医師として、友人として、相棒としての心配と配慮がそこここに出ている。戻ってきたホームズにお茶をそっと渡したり、毛布をかけてやったりする場面。セリフは一切ないのだけれど。これは正典読みとはまた違った面白さ。ビバ・グラナダ版!

 *ワトソン、ホームズに色々と警告を与える。とにかく休養中なのだから仕事はダメ、というスタンス。馬車が通る時もアブナイって言ってるし。弱っているホームズに変わってちゃんと推理もしてあげてるし。(泥の件ね)ホームズも今回は随分彼を心の支えにしているみたいだ、という演技。

 *ランプシーンは有名ですが。「君に感謝と謝罪の両方を言わなければならない。これは僕一人でも許される実験ではなかった。そして友人を巻き込むとは二重に間違っていた。本当にすまない」「きみに力を貸すのは僕の最大の喜びかつ特権だ」とセリフが正典にはあったはずだけれど、ワトソン側はグラナダでは語られなかった。まあ映像でそこまで言っちゃうとね(笑)。

 でホームズがここで有名な「ワトスンをジョン呼ばわり」事件があるわけなんだけれど(英語版のみ)これはジェレミー案だったようだ。錯乱状態の中では、きっとそう呼んでしまっただろうと思う、と。これは某フランスホームズ協会のマニアックなサイトより、英国のファンクラブ?The Black Box Club: RETURN TO SHERLOCK HOLMES: PART ONE: The Case of The Youngest Pen に飛び、そこで写真付きで語られていたもの。ラリッた時の回想ででてきた使用写真はジェレミー自身の幼少期ということだ。

*『十分な情報がないのに頭脳を働かせるのは、裸のエンジンでレースをするようなものだ。粉々になるまで走り続けるだろう。海風、太陽の日差し、そして忍耐で全ては解明されるさ」「とりあえず落ち着いて現状を定義づけよう。今分かっている僅かな手がかりを確実に理解しておこう。そうすれば新しい事実がやってきた時、それらを適切な場所に当てはめられるかもしれない」(正典より)

*『指輪』、なるほど。それにしても結局、あらゆるこの世の悪事の動機って、男と女に帰結するものなんだなあ・・・。

*あの岬は『リザード岬』というらしい。その断崖を背景に、冒頭でワトソンと二人、墓と死に言及するシーンが、本で読んだ時より一層、映像では沁みました。

*正典にはなかったよねこの冒頭のシーン・・・確認してしまいましたが見当たりません。「古代の墓か――この半島の あらゆる場所にあるだろう。 海と同様、死は常に我々と隣り合わせだ」 というセリフをワトソンに言わせ「そうだな」とホームズがうなづくところ。普段、生臭いキッタハッタの世界に居てなんてこともなく人の命を扱っている二人だけれど、ましてワトソンは医者だけれど――改めて「死」や、この手のことに二人が共に思いを馳せるシーンは、さすがの演出。

 ホームズのBGM集がユーチューブに。お楽しみください。


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