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Entre la poire et le fromage 

『洋ナシとチーズの間』 パリのよしなしごとを徒然なるままに

グラナダ版ホームズ:第4シリーズ 第24話 The Adventure of Wisteria Lodge『ウィステリア荘』

Sherlock

 The Adventure of Wisteria Lodge『ウィステリア荘』。56ある短編小説のうち38番目。こちらも『最後の挨拶』収録。一言で言うと『THEスパニッシュ・復讐物語』。

 依頼者:エクルズ氏。ストーリー:エクルズが『ウィステリア荘』に招待されたが翌朝、主人のガルシアはじめ全員消えた。ガルシアは死体で発見、警察はエクルズを容疑者とするも思わぬ展開へ――。

   ←英国のこれぞ古屋敷

  この回で注目の登場人物は地元ベインズ警部(フレディ・ジョーンズさんという役者だそうな)。ホームズシリーズ全編通じて、登場警部の中で比較的まっとうな位置におり、ホームズも一目置いている。何かにつけてホームズを意識し「お互いのやり方で行きましょう」なんて張り合う嫌なキャラを漂わせつつ、最終的にはその優れた洞察力から「君の秀でた能力に対して、それが発揮できる機会があまりに少ない」(この田舎に居たんじゃ)とホームズに言わしめた唯一の警察側人物。

  正典との変更点多し。がいちいち挙げてもきりがないことが分かってきた。回を重ねるごとに「グラナダ版」として楽しもうという心構えが・・・。

 ワタクシごとですが、学生時代(今から約12~3年前)苦学生として、奨学金で借りたはじめての部屋の名が「ビー・ウィステリア」だった(笑)

*おお懐かしの(最近の回はご無沙汰だった)ベイカー街から始まる。会話がいい。以下、正典と照らし合わせて。

【ホームズ:「君は『グロテスク』(グラナダ版邦訳では『奇怪な』と言っていた)という単語をどう定義する?」「奇妙な 目立った」「間違いなくそれ以上のものがある。悲劇と恐怖を示唆するものが裏に潜んでいる。もし君が、我慢強い読者達を苦しめてきた幾つかの物語に心を馳せれば、それが犯罪にどれほど繋がっているか分かるだろ」】。

*誤認逮捕につながるベインズ警部に「核心からそれてるよ」と警告するホームズ。ワトソンも語気を強くして。息あってて痛快。

*警察記者発表模様。今も昔も変わらない(笑)さて推理小説&ミステリー小説のお約束ごととして、・デキル主役の探偵がおり・「警察」は無能であり・常に主人公の引き立て役=脇役、という古今東西の暗黙の構図がある。が、よく考えたら記者含めマスコミってその「無能」警察のさらに下なんだ(笑)。警察幹部から記者会見という形で有難く公式情報を「頂戴」し、ただの警察広報になり下がってる記者・・・。にも関わらず、相変わらず自分たちは第4の権力とやらを持っており、国民(一般のヒト、という見下した言い方が常だ)のために代表して書いてやってるんだ、という教育が身に沁み込んでいるからね。この時代から一ミリも変わっていないって凄い。ナントカと新聞は使いようって言わせてるシーンも別の話であったし。大衆を信じ込ませる単なるツールだからね。

*チャリンコ疾走シーン、テイク、良し。久々に。

*「ひとりはみなのために、みなはひとりのために」(過去記事ではアレクサンドル・デュマの項で書いたけれど)スペイン語だと「uno para todo, todo para uno」

*ワトソン、最後「私は法を信じている」と強く主張。いつもは黙って温かくホームズを見守るだけだけれど、人間として曲げられない信念(おそらく医師としての職業倫理のようなものから育まれた良心、人格)を感じさせる一面を盛り込んで。ドラマとして完璧ですなあ・・・。こういうセリフね、私思うに、小説設定上、女じゃダメなのよ。

 例によって参考・出典はこちらフランスのサイト『コナン・ドイル百科事典』。もちろん全文フランス語なので読むときに要・思考の切り替え。ホームズだけでなくコナンドイルのバイオグラフィーから全ての作品研究に至るまで、本国ビックリの詳細多岐に渡る。 The Conan Doyle Encyclopedia

  File:Granada-wist-13.jpg 鋭い眼光が絵になりまくりだ・・・ さて今回もおまけ。次回続く。 

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