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Entre la poire et le fromage 

『洋ナシとチーズの間』 パリのよしなしごとを徒然なるままに

グラナダ1(3)海軍条約文書事件 The Naval Treaty

 56短編23番目。ストランド1893年『思い出』収録作。依頼者は外務省高官パーシー・フェルズ、事件は文書盗難、国家機密紛失モノ。私の好きなお国外交分野だが二度目に日本語字幕で見直してみたら結構突っ込みどころに気づいた。あまりに有名な(2:赤毛)を飛ばして先に本作。今回サブタイトルは『THE:セクシージェレミー名場面集』!!

 

*ワトソンのケンブリッジ時代の旧友のため、ワトソンがホームズに事件を依頼。このスタイルは他に『技師の親指』(グラナダ版は無)のみ。【余談】――ホームズの出身大学は「オックスフォード説とケンブリッジ説」が世界のシャーロキアン達の間で熱いバトルを繰り広げてきた経緯があるそう。これについてはまた改めて。

*英国・イタリア間の条約文書は外交公用語であるフランス語で書かれているのがミソ。

*ジェレミーが芝居がかった演技を見せる「ジェレミー・ホームズ」にハマるか、傲慢とも言える探偵の態度に嫌気がさすか、そろそろ分岐点の三作目。

ホームズの習慣、癖、部屋の様子など、第1シリーズ、初期では毎回のように、原作に忠実に再現される。今回は「化学実験に没頭する」「壁にピストルでVR(ヴィクトリア女王)のイニシャルを刻む」「部屋の散らかりよう」がチェックどころ。ではスタート。

  

1)実験中ホームズ。なんと、さらさら髪をかきあげたぁ~~!椅子の上にぴょこんと乗っかるあの座り方も茶目っけたっぷりで反則です。『ハドソンさん、ホットウオーター!!!』このセリフをどうかラストまでお忘れなきよう。

2)外交官のお屋敷へ。この時二人がかぶっている、トップハットでないちょっと丸みを帯びた帽子の名称は、ボーラー?

3)外交官邸、さすが位ある立場の人間にふさわしい、趣ある作りと内観。事件のあらすじが語られる。椅子に腰かけたホームズが絵になりすぎ。オリジナルからコピーをかきうつす、なんて・・・今なら国際ハッカー犯罪ってとこか?紳士の持ち物チェック:『懐中時計』。時刻は10時15分前ですな。つまり9時45分。

4)18分ごろ、婚約者の兄と休憩談話。25分ごろ、かの有名な「薔薇のシーン」 画像鮮度がいいです。↓


"What a lovely thing a rose is!" said Sherlock Holmes. - YouTube

――『宗教にとって推理は不可欠である。推理は科学的に進められる。神の恵みの確たるものは花だろう。善なる者だけが与えるのだ。我々は花の中に期待をみる』「花」に関してはラストまであと3回チェックシーン有。

 

*外務省で捜査のため、いつもとは違う正装のタイ。またこでホームズの祖母がフランス人であることが、ワトスンから明かされる。

*黒にシルクのタイ・・・なんて品格・・・。この視線、この角度。

 

*若いスペクター・フォーブズに対してがつんと接するホームズがいいね。53件のうちクレジットが出たのは4件、残りはヤードだと。「君は若く経験に乏しいから許す。ベルは何故鳴った!」とか。20代に媚を売るような50代が私は大嫌いだ。

*34分、上院議員に会いに行くが。ふと個人雑感。ホームズは自分の判断を裏付けるため色々当たるが、結局は(ホームズ談)「目的のない自己犯罪」ほど難しいものはない「泥棒は偶然、ほんの出来心」でおわられちゃあ。。。ホームズ56話の中でも「国家に関わる大事件」に発展のリスクを秘めている稀有なストーリーなのに、ネタとしてはひっじょ~に小物の部類で、小心者極まりない、動機としても単に個人に帰するハナシなわけですよね?結果的に(起こった事実としては)国家の陰謀・外交とは何の関係もない。今回見直しながら、「あれ??私なんでこんなに『外交』という初期キーワードだけで、当ストーリーに執着していたのだろう」と我に返って考え込んでしまった。目下捜査中。

白いスーツ姿のホームズ。Don't miss!

38分ごろ。走り、飛び、細くて身軽で機敏なジェレミー・・・50代なのに貴公子ジェレミー。白のスーツはもう今後お目にかかれないかも。完全保存版。

*「朝食はロンドンで!!」“ティファニー”の300倍、私はこっちの方がいい!

←名場面多すぎ。秋のディスクトップ行きだな。

*「花」――34分過ぎにほんの一瞬、屋敷のメイドが新しい花を運ぶシーン。犯人が逃走時に花壇の花の上に落ち、踏みにじるシーンは象徴的。そして最後、ハドソン夫人に花を送るシーンが何故か素敵過ぎて。原作にはない。生のジェレミーが居るみたいなほんの一瞬の場面。

 若いハドソン夫人!

 約束通り、ロンドンの朝食シーンに戻って。

*華麗なる銀食器たちに眼がテン。

*ラストはハドソン夫人がちゃんと「これ」を持ってくる(笑)忘れずに。


Sherlock Holmes : The Naval Treaty part1 [HQ] - YouTube