Entre la poire et le fromage 

『洋ナシとチーズの間』 パリのよしなしごとを徒然なるままに

High-functioning sociopath(高機能反社会的人間) シャーロックの哀しみ

 コナン・ドイルをはじめ、作家ではジョナサン・スウィフト、アンデルセン、メルヴィル、ルイス・キャロル、イェイツ、、ジョージ・オーウェル。

哲学者がスピノザ、カント、シモーヌ・ヴェイユ。

音楽家がモーツァルト、ベートーヴェン、サティ、バルトーク。

画家がゴッホ、L・S・ローリー、アンディー・ウォーホル

 ――以上に共通しているのは?

 人と変わった作風で、ゆえに時代と国境を超えて魅力を放ち続ける「芸術」を作り上げた『天才』と呼ばれる人々。彼らは「性格・人格的に」「極端に変わっていて」「社会性に欠如し」「適応できなかった」という共通項が、英国で研究まとめされた本がある。テーマとしてはそれほど目新しいものではない。

http://ecx.images-amazon.com/images/I/51HYDVPF90L._SL160_PIsitb-sticker-arrow-dp,TopRight,12,-18_SH30_OU02_AA160_.jpg『The Genesis of Artistic Creativity: Asperger's Syndrome and the Arts』Paperback – 18 May 2005 by Michael Fitzgerald  (Author) 

http://www.amazon.co.uk/The-Genesis-Artistic-Creativity-Aspergers/dp/1843103346/ref=sr_1_fkmr1_1?ie=UTF8&qid=1411037153&sr=8-1-fkmr1&keywords=Michael+Fitzgerald+Aspergillus 邦訳が2009年『天才の秘密――アスペルガー症候群と芸術的特性』として世界思想社から出版されているようだ。

 

 BBC版『シャーロック』を英ー仏語でみると、シャーロックを「アスペルガー?」と疑惑かけている場面が何度か。大して問題視せずにいたけれど、日本語字幕ではカット。某放送協会基準か。

 “サイコじゃなくて僕は「High-functioning sociopath」だ”に関しては邦訳「高機能反社会的人間」でGOときたか。ハイ・ファンクショニングの部分はBBC造語?

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 上記の本のなかで、コナン・ドイルも、彼の造り出したシャーロック・ホームズも共にアスペルガーと主張しているのが面白い。

 ホントに彼がサイコパスであったなら、おそらくシャーロックの能力は、モリアーティーのような悪の方面に発揮され、恐ろしいことになっていたはず。

 ドラマで使われてから、世界で一躍注目を浴びることになってしまった『ソシオパス』という単語。「アスペの一種なのか」とか「サイコとどう違うのか」とかUKのヤフーをみると質問と回答が山ほど出てくるけれど、ケンブリッジをはじめ(おっと、ここはホームズの出身大学かもと言われているところ)イギリスはこの分野の研究はわりと進んでいるらしい。

 学術的なことはあまりに専門すぎて、私には解説出来そうにない。が、現代版BBCシャーロックを観ていていつも思うのは、彼の哀しみに寄りそうことはできる、ということだ。

 まあ海外ドラマなぞ、人それぞれの愉しみ方があるから、純粋にストーリー好き、ベネさんファン、筋金入りのシャーロキアンから英語学習と何でもありだが。私の場合、正典どうのとかはもうどうでも良く、現代版で脚本が描きたがっている、シャーロックのかなしい性(サガ)に、共振してしまう傾向があるみたいだ。

 天才は、幼いころからずっとその才能に任せて突っ走ってきたから、それを誰も止めてくれなかったし、同じ速度で、同じ目線で、同じ景色を見てくれる誰かの存在なんて、想像したことすらなかっただろう。周りからずっとフリーク(変人)扱いされ、ほめられたことも抱きしめられたこともなかったに違いない。確か兄マイクロフトの前で(両親が出てくる回の話)「複雑な子供時代だったんだ」とジョンに対して言っていたシーンがあったっけ。

 何かに満足するのは凡人だけだと見下しながら、飢えたこころを一瞬も休めることなく走りつづけていないと倒れてしまう、そういう宿命を背負った者の苦しみ、哀しみは時に、自己破壊や狂気に向かうこともある。

 信頼に足る相棒が現れても「他人との接触の仕方」を学んで来なかった彼は(だってそれは科学で立証できないから)とにかく自分を構って欲しくて、12歳の男の子状態。キャンキャン犬みたいにちょっかいを出してみるも、普通の大人にとっては、家庭とか、恋人とか、友達とか、そういうエネルギーの分散の仕方という常識的方法が存在しているため、彼の意図するところがぜんっぜん分からない。

 まだジョンもシーズン1では振り回され、分からないゆえに思いっきり拒絶し(笑)視聴者にだけ分かる仕組み。これ推理でもミステリーでもなく英国「心理ドラマ」として私の中でカテゴリーされつつあるけど(笑)

 「ハイ・ファンクショニング・ソシオパス」で検索していたら、BBCのショップでなんだかスゴいものを見つけてしまった・・・「高機能反社会的人間専用マグ」( シャーロック公式)これでコーヒー飲む???
 

 "Sherlock" Sherlock: High Functioning Sociopath Mug at BBC Shop