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Entre la poire et le fromage 

『洋ナシとチーズの間』 パリのよしなしごとを徒然なるままに

パリのダンスエッセイ:『Danse Danse Danse!』 出版後の心境変化

 パリのダンスエッセイ本『DanseDanse Danse!』出版をした。やっと重い荷物を手放すことができた。その後訪れた、不思議な心境の変化について。

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 本の中では「何も変わらない」と述べた。確かに一つの区切りには違いない。でもそれはあくまで「一つの季節」の終わりであり〈本で結論は導き出していても、それは自分と読者を納得させるためであった〉、と。本を書いたぐらいで何かが劇的に(よい方へ)変化するわけもないという、過度な期待を抱くことへの戒めでもあった。

 ―――本当に、それだけか?

 のたうちまわりながら、私はアタマと身体で痛みを刻んで、パリに諦めを付けたかったのだと思う。誰かが「もういいよ、もう充分だよ」など言ってくれない代わりに、自分で言語化するしかなかった。眼に見える「ピリオド」を取らなければ、どこにもすすめない。

 すなわち――パリを去る準備。本当に行くべき場所。自分がまだ「やれる」のだと思うのなら、行かないまま、やらないまま、ここで朽ち果てることができるのか、と。エッフェル塔に憧れて、ここに居るんじゃない。

 逃げ出すんじゃない。自分が選んだ街、自分が選んだ1年5カ月から。それを無駄にしないために、次へ向かう。挑戦を少し先に据えて、今じっくりと下準備にとりかかればいいではないか。

 ロンドン。最終目標と断言はできない。中継点かもしれない。パリだって永住するつもりで日本の全てを捨てて乗り込んで、結局このザマだもの。

 本当の目標はもっと別でもっと先かも知れない、そんな予感もするが。見えない永遠を求めて動けず膝を抱えているよりは、動いて泣いて間違えた人生ならまあ納得もいくだろう。

 浮かぶのはセーヌだろうがテムズ河だろうが、最後はひとつ、どこかの海に流れ着くのだろうから、早まることはない。

  少しずつ、旅立ちの準備をしよう。行くことも去ることも。潔く発つためには、潔く生きなければならない。そして「adieu」(アデュー:さよなら)を言うことが辛いとひとりでも思える人が居るのなら――ここで生きた日々は、きっと無駄ではなかったのだ。

 Attention :Ce produit a la date d'expiration 

 (警告:この商品は有効期限付き!)どんな所へ行っても自分が永遠にそこに居られると思わないように。タイムリミットを自分で設定して。

 『今』をちゃんと生きること。未来のために。あとは衰える一方の肉体だから、それだけに頼って30後半からの人生は切り開いていけない。まして日本に帰らないと覚悟したひとり身では。英語と日本語の文章を自分の友に、頑丈なかけ橋を構築して行く。壊れない自分を、この手で作り上げていく。

 書くことを―――やはり私はダンスから学んだ。

  

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