Entre la poire et le fromage 

『洋ナシとチーズの間』 パリのよしなしごとを徒然なるままに

フランス料理 アントレに、スイーツに、さまざまな『ベニエ』beignet de calamar

午前中語学学校に通っているのですが、ちょうど今フランス料理についての章に入ったところ。フレンチの一般的なコース料理(構成、種類、注文の仕方など)について学ぶというなんとも初歩的なチャプターですが。ああ初心者のころから何回繰り返したか知れないこのダイアローグ、避けて通れない美食の国、フランス語学習の必須テーマなわけです。固形物を食べないからといってこの壁は避けて通れない。フランスで生きるなら、教養として、また文化として、空気を吸うみたいに『美食』を学ばざるを得ない。それほどフランス人にとっては生きること、つまりは豊かさや人生の質などといったものに直結しているんですよね。(ならば私なんて死体も同然です。)

 まあ知識として、この国の一面を知るひとつの扉として、確かにこれなくしては近づけないわけで。(っていうかいつか小説のネタに使えるというただそれだけの興味ですが)調べてみると、なるほどさすがに知的好奇心を刺激され、面白すぎて深みにはまってしまうんです。

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 テキストの中で、アントレ(前菜)に「beignet de calamar(ベニエ・ド・カラマール)」という知らない料理がでてきて思わず辞書を引いてしまったのですが、この多種多様さ、思わず今日のテーマにしてしまいました。

フランスでは、ベニエは、一般的には魚貝類・野菜を詰めた生地を油で揚げたペイストリーの総称として使われています。ベニエ=「揚げた生地」という意味のフランス語。何だ、ようはフリッターじゃん、駅前の『魚民』とかにもあるんじゃん?あるいは、ビールのおつまみに・・・と思ったアナタ。欧州のベニエは幅広い顔を持つ揚げ物の代表選手で一言じゃくくれないんですよ。

 フレンチ・コース料理では立派な前菜の一品です。授業でやったのはカラマールのほかに、牡蠣、ムール貝、蟹、オマールえびなど、いろんな海の幸のベニエ。でも中に包む内容で、地方色、国柄が存在するんですね。こちらは同じフランスでもオート・サヴォワ県のジャガイモのベニエ。伝統食だそうです。野菜は結構バリエーション豊富のよう。

 果物をつめて揚げるのは古代ローマの保存食にまでさかのぼるとか。ドイツ西部では、果物の入ったものをベニエと呼び、入っていないものをクラップフェンと呼び分けているそうです。

 一方、スイーツとしてのベニエも存在します。フランス語で「ベニエ」でググってみると半数以上の割合でヒットします。揚げ菓子、つまりドーナツ的感覚です。ブーランジェリー(パン屋)に売っているとか、朝ごはんに、とか、お子様のおやつにって書いてあるのでどうも様子が「てんぷら」と違う、変だなと思って調べてみました。

 つまるところ、プレーンの挙げたてドーナツに砂糖をふりかけてそのまま食べるごく身近なお菓子らしいです。屋台なんかにもありそうな。チュロス感覚ですかね?二つに割って、ジャムやNutella(ヌテラ=ドイツが生んだ大ヒット・ヘーゼルナッツペースト。チョコっぽいやつ)を塗るのも定番だそうな。

形はこんなんだったりこんなんだったりとさまざま。下はフランス、ドイツに近い本場アルザス地方のベニエ・ド・カーニバルのレシピです。こちらも中に詰めるものによって、細かく種類や呼び名が分かれているみたいです。


Beignets de carnaval (Alsace) : Recette de Beignets de carnaval (Alsace) - Marmiton

謝肉祭の最終日から肉を食べない節食に入るため、その前の火曜日に食べるならわしだったとか。きちんとした伝統と風習に基づいたお菓子だったんですねえ。ちなみにドーナツの形をしているものはひとつもありません(笑)

最後に。海を渡ってアメリカのニューオリンズでは、ベニエは土地名物なのだそうです。京都の八ツ橋、みたいに。ニューオリンズはとりあえず「珈琲とベニエ」(しかも四角い。砂糖をたっぷりかけて食べるみたい)。日本では確かカフェデュモンドで食べることが出来ますね。

Beignets | Cafe Du Monde French Market Coffee Stand

フランスにはぐびぐび飲める美味しい珈琲屋さんというのがそもそも存在しないので(最近は焙煎珈琲のお店もいくつかパリで登場しているようですが)、大の珈琲党の私としてはうらやましいです。