Entre la poire et le fromage 

『洋ナシとチーズの間』 パリのよしなしごとを徒然なるままに

フィナンシェじゃだめだったんですか、プルーストさん(10)パリのドーナツ事情 

 このタイトルも「引っ張りすぎやねん!」というお叱りが聴こえてきそうな10回目。パリは真冬に戻ったかのような灰色の空と気温であります。冬が恋しいkotorioです。

 3月11日の「村上さんのところ」の読者とのやり取りの中で、あの有名ドーナツ店が登場していましたね。日本の代々木上原にあるお店、ハリッツさんです。発酵生地のシンプルドーナツ、毎日でも通えそうな勢い。お一人様5個までです。

ハリッツ | coffee & donuts haritts

 (公式HPより)

 日本のドーナツやさん、ミスドなどのチェーン系に対し、「手作り」「保存料なし」など素朴さを特徴とした個人店舗の流れが2000年代以降に主流となりました。その走りと言うべき存在、昔私の下宿先近くにもあった「はらどーなつ」や麻布十番の「nicoドーナツ」nico ドーナツ など。その後も「村上さん」サイトでは、甘くない「おい塩ドーナツ」の尾鷲山田堂さんなどドーナツネタが猫とヤクルトの間で申し訳なさそうに身を屈めつつもちゃっかり続いております。ちなみに山田堂さんはフランスパン生地を使っている珍しい通販可のお店だそうです。

大阪ドーナツ 甘くない・安心・無添加 おい塩(しお)ドーナツ/◎◎◎尾鷲山田堂

 さてパリはここ2.3年「スイーツ専門店」のラッシュらしい。彼らにとってスイーツとは、毎日(朝昼晩と3回も)顔をだす隣のブーランジェリー(パン屋)で売っているもので、一つの商品に特化したお店という発想そのものがないんですよね。とはいえ、ブームになったお店を見てみると、いかにもおフランス菓子に対抗すべく独自色の強いスイーツばかり。

パリ初のチーズケーキ店She's cake」。400種類のチーズを抱えるこの国では、チーズが「甘い」「菓子の素材」ってあり得ない。あくまで「チーズ」。チーズは別腹。ここを開いた女性パティシエさんも「パリにはチーズケーキがないから」とのことらしいのですが、お店には

こんなのとか こんなのとか

 我々が思い浮かべるあの幸せの黄色い微笑みをしたNYチーズケーキとは程遠い。パリ風ハデ派手色が加えられております・・・。他にも

レクレールエクレア専門店『レクレール・ド・ジェニ』(2012年)

ポペリーニシュークリーム専門店『ポペリーニ

マカロン&チョコ専門店『クリストフ・ロッシェル

http://www.christophe-roussel.fr/

 凄まじい色の数々(絶句)。『食傷気味』という漢字四文字が頭をよぎるのは私が日本人だからでしょうか(あれ通り越して吐き気すら)ーーこの国では「シンプル」「身体にやさしい」「無添加」だのってどうも「貧乏臭い」とイコールにされてしまうのか。。。良い、悪いの判断でなく、文化・食・生活環境・味覚の違いによるところが大きいかと。

 そうは言っても、ベーグル屋さんは出来ても、ドーナツ屋さんが何故いまだにパリに存在しないのだ!!パリで美味しいドーナツを探すには・・・外国人旅行者でごったがえるスタバという唯一英語飛び交うオアシスしかない。あとは作るしかないです。が、キッチンはもちろんレンジ、オーブン、冷蔵庫と洗濯機と携帯電話(三種の神器と呼ぶ)を一切持たず、一人暮らし歴十数年の私には到底、夢のような話。

 フランス人がドーナツ屋さんを必要としない根拠は幾つか挙げられます。そのうちの一つ、実はフランス人はドーナツという食品を嫌っているわけではないと思うんですよ。だってドーナツまがいのもの、日常的に彼らは食しているのです。これがその問題の商品。パン屋さんで売っているベニエ Beignet です。以前記事で登場済み。

生地を油で揚げた、ドーナツ的なフランス菓子。パン屋さんからカフェのメニューまで、ごく身近にある。中に果物のピューレを詰めたり、バリエーションも豊富で。フランスは比較的四角いのが多く、名こそ違えど色々な国・地域に似たようなお菓子が存在するらしいです。丸かったり、ボール状だったり、穴のあるドーナツ型だったり。

 本日の結論として「誰かパリに(売れないのを前提で)珈琲&素朴でやさしい味のドーナツやさんと、黄色いNYチーズケーキのお店を開いて下さい」ということです。えっ、お前がやれって・・・いやいや、私は実演のほうはシロウトですので、広報部長でリクルートして下さい。